指導内容について

ことばの発達(乳幼児〜小学生)*対面のみ

発声・発語やことばにこだわった指導

当相談室ではインリアルアプローチ、PECSといった、ことばやコミュニケーションに重点を置いた指導を行なっています。認知面や生活面を整える指導は基本的に療育先で行なっていただいているものと考え、プラスとして言語聴覚士だからこそ可能な指導を基本方針としています。

発語がまだない、または少ないお子様の場合

当相談室ではまずインリアルアプローチというよく知られた手法を用いて、親御さんにペアレントトレーニングをおこなっています。親子遊びの場面を録画させていただき、親子のことばやジェスチャー、アイコンタクトなどを文章に書き起こして、具体的にどういうことばがけがその子にあっているのか、説明させていただきます。

その次に検討するのが、絵カードを用いたコミュニケーション指導です。使用するのはアメリカの療育施設で日常的に使用されているPECS(ペクス:絵カード交換式拡大・代替コミュニケーション)です。

「絵カードなんて使ったらそれに頼ってお話しなくなるのではないか」というのはなぜかこの界隈に広がっている大きな間違い。そもそも「ことば」は人とのやりとりの道具。ことばの前段階である「やりとり」が身に付いていなければ、発語は生まれにくいもの。だからこそ「やりとりの楽しさ・便利さ」をまずは学ぶ必要があるのです。さらに絵カードは文法を使いこなしたり、ことばの理解を深めたりすることにも役立ちます。PECSから発語のみに移行する子どもの率は76パーセント。発語のみのトレーニングでことばを獲得した子どもたちの率と同等だそうです。

なお、インリアルアプローチもPECSも、相談室だけでなくおうちでも毎日やっていただく必要があります。発語につなげるためのアプローチは、毎日の積み重ねが大切だからです。

机上訓練ができるお子様の場合

発語でのやりとりがある程度整っており、机上訓練ができるお子様には、何が必要なのかを評価し、親御さんのご希望も伺いながら目標を設定していきます。語彙を増やしたいのか、説明が上手になってほしいのか、お友達とのトラブルを減らしたいのか、集団での指示を聞き漏らさないようにしてほしいのか、すべてプログラムが違ってきます。

読み書きの指導(子ども)

ひらがなやカタカナ、漢字の読み書きに不安を持つ方向けの指導です。読み書きに困難を抱えるお子さんは30人クラスに2、3人はいると言われていますが、とくに普通級にいる場合は特別な指導が受けられないことが多いです。またこの困難はひとりずつ症状が異なりますので、インターネットなどで見聞きしたような他の子にあう方法が自分にもあうとは限りません。

当相談室では、お子様の読み書きの症状から、どういった学びが向いているのか評価して提案をさせていただきます。タブレットを使用したデジタルコンテンツを積極的に導入し、学校でも使用できるような工夫の提案もさせていただきます。

また当相談室では書字障害のあるお子様向けの教材も取り扱っています。指導の継続利用をいただける方にはこれらの教材を使用しつつ、オンラインを通じて使い方などもお伝えさせていただいています。

●学習支援

作文が書けない、計算はできるけど文章題は苦手など、学習の中でバラつきがあるお子様の場合、その苦手さは自身の能力のバラつきに起因している場合があります。その場合、苦手を何度も繰り返すようなコツコツ学習では改善しません。つまずきの原因を分析し、それを補う指導が必要です。当相談室では得意領域を生かして苦手を補う指導を行うほか、スマホやタブレットを積極的に導入し、学習の下支えとなる指導を行なっています。

●スピーチ・コミュニケーション

小学校高学年や中学生になると、友達とのグループづきあいが密になってきます。ひとりだけ会話のテンポについていけない、グループLINEでのやりとりに遅れてしまうなど、スピーチやコミュニケーションの基礎的なところでつまずきを感じるお子様向けの、会話力を育てるトレーニングを提供します。また発達障害の特性から生じるコミュニケーションの不安についても寄り添います。

吃音指導(幼児〜中学生)

5、6歳のお子様には、主にリッカムプログラムをご案内しています。紹介動画はこちら

リッカムプログラムはオーストラリア生まれの、幼児向け吃音指導プログラムです。約1年に渡る長丁場のトレーニングですが、優れた効果が実証されており、世界中に広がっています。日本でも2021年に発布された幼児向け吃音ガイドラインで、最も推奨するトレーニングに選ばれました。

  • 1、2週間に一度、言語聴覚士との面談を親子で受ける
  • 2つの条件を半年〜1年継続する
  • 毎日15分、おうちで親子トレーニングの時間を設ける

以上の条件下での実施になりますが、当相談室はオンライン指導を取り入れているため、1週間から10日に一度の形で進めています。

リッカムプログラムが日本に紹介されたことで私自身「これでようやく自信をもって吃音改善のためのトレーニングに取り組める」と思いました。従来の環境調整法も決して悪いものではありませんが、より直接的な指導ができるのがリッカムプログラムです。

リッカムプログラムの難点をあげるとすれば、6歳以下のお子様しか受けられないこと。限られた機会のうちに勇気を出して取り組んでいただけるよう、全力でサポートします。

小学生以上について、吃音について、まだそれほど気にしていないお子様の場合は親御さんへのアドバイスを中心に、本人に自覚がある場合は、吃音について学び、自身の症状をコントロールする手助けを行っていきます。また、カミングアウト(先生や友達に吃音であることを告白する)のお手伝いもさせていただきます。中学生ですと相談の上、本人にあったプログラムを選択します。

5歳以下のお子様の場合、環境調整で介入させていただきます。いずれはリッカムプログラムに移行することが可能です。吃音が始まった時期から専門家につながるまでに間があけばあくほど、予後に影響するという報告もあります。実際に当相談室でも年長からいきなりリッカムプログラムを始めたお子さんと、早い段階で環境調整やDCMを経てから始めたお子さんでは、成果の出方が違っています。「様子を見る」という形で放置するのでなく、早めにご相談ください。

発音(構音)指導(子ども〜大人)

  • カ行やサ行が言えない
  • ラ行がダ行に変わることがある
  • 全体的に不明瞭
  • 側音化構音と指摘された・・・

子どもから大人まで、幅広い発音のお悩みに対応します。言語聴覚士の観点から、幼児の発音や音韻意識の力をチェックしたり、アナウンサーの立場から綺麗な発音を目指した指導などを行っています。

なお、子どもの構音(発音)の指導開始時期の目安は、カ行・ガ行の場合は年中さんの夏休み、サ行・ザ行・「つ」の場合は年長さんの夏休みまでに言えなければスタートとお考えください。それ以前でも、お子さんが言えないことにストレスを感じている場合は、早めの指導スタートをお勧めします。

最近増えているのが口腔機能発達不全症からくる発音の不明瞭さです。普段からお口がぽかんと開いていたり、いびきをかいていたり、噛んだり飲み込んだりという動作が不自然だったりするとその疑いがあります。放置すると誤った発音動作を身につけてしまい、修正に時間がかかることがあります。比較的指導しやすい幼児の間に相談されることをお勧めします。

大人の場合、イ列やサ行・ザ行音に言いづらさを感じる側音化構音のお問い合わせを多くいただいています。発音はいくつになっても治せます。症状にもよりますが、1、2回のレッスンで正しい音のコツが掴める方が多いです。

発声・表現・滑舌指導(*オンラインのみ)

アナウンサーとしての経験と言語聴覚士としての知識を生かし、大人のための発声や表現の指導を行っています。

  • 発声や滑舌をよくしたい
  • 堂々とプレゼンできるようになりたい
  • いろいろな種類の声を出せるようになりたい
  • 音読がうまくなりたい

あなたの声をよりよくするお手伝いをいたします。こちらの項目はグループでの参加も可能です。

指導者向け各種相談・コンサルタント

構音(発音)や滑舌指導、話し方指導にあたっている指導者の皆様向けに、言語聴覚士の観点から問題を解決するお手伝いをさせていただきます。

指導をしていく中で、「なかなか解決しない」「この方法でいいのだろうか」と考えることも多いと思います。第三者に相談することで新たな視点が開けるかもしれません。利用者様の映像や音声などを共有させていただき、アドバイスをさせていただきます。なおこの項目はグループでの参加も可能です。

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