吃音のお話

ことばと脳の相談室では小児の吃音の指導も受け付けています。

このところ吃音関連の新たな情報が見られましたのでご紹介しておきます。

まずは、新しく作成される吃音のガイドラインについてです。国立障害者リハビリテーションセンターの旗振りで、今まで存在しなかった吃音に関するガイドラインが作成されることになりました。

「ガイドライン」というのは、医師などを始めとする医療者が、その治療を始める上で参考にする基準のことです。簡単にいえば医療のルールブックのようなものです。多くの医療系の学会が、治療方針を決めるためのガイドラインを出しています。つまりざっくりいいますと、医者はそのガイドラインに従って診断をしたり治療を行ったりしているわけです。これがあることにより、あっちの病院ではこの診断、こっちの病院ではまた違う診断、ということがなくなり、全国どこでも同じ水準の医療を受けることができます。

とても長い話になりますので省きますが、吃音においてこれが策定されると何がいいのかというと、医療者による「様子をみましょう」という台詞がなくなる可能性があります。現在作成に向けて動いている小児分野のガイドラインでは、治療開始年齢を5歳と定める方針のようです(※今後変更になる可能性もあります)。つまり「様子をみましょう」は5歳まで、ということになります。5歳になっても吃音症状が改善されなければ、治療をはじめる、というひとつの指標ができるのです。

さらに、どんな治療が有効かも、このガイドラインでは示されることになります。今のところあがっているのは「リッカム・プログラム」と「要求-能力モデル(Demands and Capacities Model: DCM)」のようです。内容については専門的なことになるので省きますが、少なくとも「これを実施すべき」と指標が定まることは、私たちのような言語聴覚士にとってもありがたいことです。

もうひとつの話題として、先日、吃音者で構成される言友会愛媛県支部の会合に参加させていただきました。吃音ドクターとして有名な九州大学病院の菊池良和先生、吃音外来を長年開いておられる鬼北町の旭川荘南愛媛病院、岡部健一先生のご講演のほか、当事者の方々の事例発表がありました。

吃音指導に関しては私も手探りな部分もあり、自分の指導について先生方の著作などを参考にさせていただくことが多くあります。とくに学齢期や思春期のお子様に関するお話は興味深く、また、自分の指導法が大きく間違っていないことを確認できたことで、私自身の自信にもつながりました。吃音指導は当事者に自信をつけさせること、吃音に関する知識をつけさせること、親御さんの支援も丁寧に行うこと、さらに、受けられる様々な合理的配慮を実践するために、きちんと法律も勉強しなければならないことなど、学ぶべきことが多くありました。また、吃音は障害のひとつであり、障害者手帳や年金の申請も行えるという事例についても教わりました。

松山地域ではまだまだ行われることが少ない吃音指導。お悩みの方、一度お問い合わせください。