「かきくけこ」が言えない・・・

ここ最近、小児の構音(発音)や吃音のお問い合わせが立て続けにありましたので、いくつか思うことを書いておきたいと思います。今回は構音について。

とくに大きな問題があるわけでもないのに、表題のような「か行」が言えない、「さ行」が言えない、「つ」が「ちゅ」になる、といった構音の問題のことを機能性構音障害と言います。障害と名前がつくと驚かれる親御さんも多いのですが、あくまで専門用語ですので、それほど重篤に捉えなくて大丈夫です。

構音(発音)には適時期というものがあります。たとえば3才のお子さんが「さ行が言えないんです」と相談にきたとしたら、「まだ言えなくても大丈夫ですよ」と答えます。さ行が言えるようになるのは一般的には5才を過ぎてから、と言われています。か行やら行は3才後半から4才後半にかけてが平均的なところです。しかしながら、適時期の状態で病院に相談に行っても「様子をみましょう」と言われてしまうことも多くあります。言語聴覚士が不足しているから、というハードの問題も大きく関わっていますが、それだけではありません。

構音の背景には、様々な能力が隠れています。そのひとつが「音韻の認識」です。日本語は1文字に対して1音が付与されています。「あ」という文字には「あ」という音、といった感じです。そしてこれらの文字や音がつながって「単語」ができています。ことばを覚える際、私たちは「単語」で覚えていきますが、その単語をばらばらにしたら、それはひとつひとつの「音」になるのです。これを理解できるか、この能力が仮名の習得や構音にも関わってきます。3才から5才にかけては、ちょうど平仮名を覚え出す時期でもあります。仮名の習得ができることで音韻に対する認識が深まり、結果的に構音もなおる、ということが多いにあり得ます。だからこその「様子をみましょう」なのです。

しかしながら適時期を過ぎても言えない場合、この「音韻の認識」に問題がある可能性があります。そうなると療育の対象になり得ます。しかし、子どもが自然に構音を習得できるのか、それとも音韻の部分でつまずいていて困っているのか、一見したところではわからないのが現実です。

ことばと脳の相談室では、初回に無料相談を設けており、評価をメインに行います。構音の問題だと扉をたたいてこられたお子さんでも、構音だけでなくこの「音韻の認識」の能力が育っているのかどうかを見ていきます。具体的には文字の習得の度合い、しりとりなどの音韻の抽出や分解の能力、他の音との違いを聞き分ける弁別の能力などを評価します。その結果、純粋に構音だけの問題なのか、その下支えとなる音韻の認識やその他の部分でつまずいているのか、原因の切り分けを行います。ここまでが無料で行える内容です。その結果をもって、このまま本当に様子を見ているだけでいいのか、指導を受けるべきなのか、判断する材料にできます。

最近では「か行が言えない場合はこうしたらいいよ」というあらゆる方法がインターネットでも公開されていますが、それはたとえて言うなら氷山の、一番上の部分だけを治そうとしているようなものです。それより下に問題がある場合は、いくら上を綺麗にしても効果がありません。また習得度はお子さんによって違います。私たちは「か行」が言えないお子さんが2人いたとして、それぞれの能力や習得度合いによって、一度に練習する音の数や進め方を調整しています。それはインターネット上のハウツー映像にはできない、専門家が持つ技量です。

お子さんの構音の問題で不安を抱えておられるお父さんお母さん、よろしければ一度ご相談ください。