無料相談終了のお知らせ

いつも当相談室のブログを読んでいただきありがとうございます。

誠に勝手ながら、長年展開しておりました初回の無料相談を2020年12月末を持ちまして終了とさせていただきます。

今後は有料(1,000円)にて、初回面談を設けてまいりますので、引き続きご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

発語がないお子様の対応

「どうしても言葉を話してほしいんです」

 発語がまったくない自閉症やダウン症のお子様を持つお母様から、しぼりだすように聞かれる台詞。胸が痛くなります。親としては子どもの言葉が聞きたい、それ以上に、絵カードやジェスチャーだけでは要求がうまく伝えられず、いらいらしたり泣いてしまったりする子どもをどうにかいしてあげたい、そういう気持ちが強いのだと思います。

 発語は1歳頃、単語からスタートすると言われています。それから徐々に増えていき、2歳で2語文、3歳で3語文、というのが定型発達の例です。そして障害をお持ちのお子さんは、この例に倣わないことが当然多くなります。

 では、定型発達の子どもはどうやってことばをおぼえるのか。実は1歳での単語の発話の前に、いろいろな下準備があります。たとえば指差し、物を手渡したりもらったりという「やりとり」などです。

 そうした中で、たいていの親御さんは、やりとりに対して「ことばがけ」をプラスしています。子どもが指さしをすれば「あ、ワンワンがいるね」と子どもの気持ちを代弁してあげたり、物のやりとりをするときは「ちょうだい」「ありがとう」と言葉を重ねたり。まだ発語がない頃、子どもは自分のジェスチャーややりとりを通じて、そこに乗ってくる「ことば」を聞いています。

 多くの療育施設でまず目指すのは「やりとり」を成立させることです。具体的には「いや」「だめ」という拒否の仕方をカードやジェスチャーで教えるところが多いのではないでしょうか。やりたくないこと、嫌な気持ちを表明することは、とても大切だからです。もちろん、一足飛びではできませんので、まずは施設にきたら荷物を自分のロッカーに片付ける、出席シールを貼る、といった簡単なルーティーンを守るところからやるかもしれません。

 そしてこの「やりとり」や「ルーティーン」が、発語の準備にもつながります。そうしたしっかりとしたやりとりやルールを、まずはジェスチャーやカードで成立させ、そこに言葉を上乗せ(対提示と言います)していくことで、言葉の習得が進んでいきます。逆にいえば、やりとりが成立していないと、発語(コミュニケーション)というのは育ちにくいことがあります。

 なぜならことばは「人とやりとりするための道具」だから。他人との関わりを持つことが苦手な自閉症のお子さんや、ときに頑固なことがあるダウン症のお子さんの場合、この「誰かとのやりとり」を楽しいもの・便利なものと認識してもらうことが、その先にある言葉の習得を進めやすくします。

 カードやジェスチャーでのやりとり、確立されたルーテーィンを、療育施設でだけ使用している方がいらっしゃるなら、とてももったいないです。ぜひ自宅にも持ち込んでください。そしてそのたびに親御さんの発語を、そこに上乗せしてあげてください。

自閉症児のことばを育てる

こんにちは。言語聴覚士の木山です。

今回は自閉症児のことばの育み方についてお話させていただきます。

……と言っても、このテーマ、範囲が広すぎますね。自閉的傾向があるお子さんで、ことばがほとんど出ない子もいれば、よくお話してくれる子もいますから、ひとくくりにはできません。

そこで、今回は一般的に自閉症児が苦手とされる「想像力」を育む方法についてお伝えします。

「想像力」というのは、なにも「王子様やお姫様やペガサスが出てくる夢の世界」などを表すわけではありません。「これをしたらどうなるのか」という、予測をする力のことです。そして自閉的傾向があるお子さんは、この分野が苦手だとよく言われます。

私がよく課題で取り上げるのは「因果関係」です。2コマや3コマのマンガを使って並び替えと説明をしてもらいます。それから絵本の読み聞かせをしながら質問をする、というもの。大事なのはどちらも「オチのある話」や「原因から結果が生じている話」をセレクトすることです。たとえばラーメン屋さんでおじいさんがラーメンにこしょうをかけすぎてくしゃみをしてしまい(1枚目)、入れ歯が飛んで、お向かいで食べていたおばあさんのラーメンに入っていまう(2枚目)、といったオチ。くしゃみをした(原因)ことで、入れ歯が飛んでいく(結果)ことになりますが、この流れを学ぶことで、「これをしたらああなるな」という想像力を養っていきます。それは転じて「この言葉を言ったら相手はどう思うかな」「自分がこれをしたらどんな結果になるかな」と、事前に考えて想像することができるようになっていきます。それは社会生活を送る上で、お子さんの大いなる助けになっていきます。

療育の場面で「これはなんのための訓練かな?」と思われることがあれば、どんどん指導者に質問してみてください。実生活にも役立てられることがあるかもしれません。

2歳からの言語訓練

こんにちは。言語聴覚士の木山です。

当相談室で一番小さいお子様は3歳2ヶ月だったのですが、今回、2歳代のお子様を担当させていただくことになりました。

2歳でSTのことばの訓練!?となると、驚かれる方もおいでかもしれません。と言いますのも、多くの療育施設ではSTはもっと大きくなってから、具体的には机に座って指示通りの課題ができるようになってからの介入というのが多いのではないでしょうか。

でも、2歳代だってできることがあります。

当相談室では、机上訓練がまだ難しいお子様の場合、ペアレントトレーニングを導入しています。

ペアレント=親。そう、お子さんでなく、お父さんお母さんに指導をさせていただくのです。

具体的には「インリアルアプローチ」という手法を使って、お子さんとの関わり方、ことばを育てる声かけの仕方などを、遊びを通じて親御さんに行っていただきます。事前にお子さんと遊んでいる様子を5分ほど動画撮影しておいてもらい、訪問時にそれを見返しながらフィードバック、時間があれば実践まで行います。

インリアルアプローチは多くの療育施設でも取り入れられていると思いますが、親御さんへこの手法を伝授するのは珍しいかもしれませんね。

ご興味ある方、ぜひお問い合わせください。

テレビ放映のお知らせ

愛媛CATVのたうんチャンネルにて放送中の「まなびの窓口」で、当相談室の紹介をしていただいています。

相談室の案内と、小児分野における療育の重要性、吃音のガイドラインについてお話させていただきました。ご加入の方はぜひご覧ください。

小児吃音オンライン指導開始

ことばと脳の相談室ではこのたび、ZOOMを利用した小児吃音のオンライン指導を行うことといたしました。

対象は3歳半〜5歳程度までの、吃音をお持ちのお子様です。

使用する指導方法はDCM(Demands and Capacities Model)です。この指導では、幼児期の吃音は、ことばの発達の具合と話したい欲求などの乖離が原因で生じている、という考え方を元に構成されています。……と言われてもちょっと難しくて理解しにくいですよね。

ざっくり説明すると、こんな感じです。子どもが「こんなことがあった、あんなことがあった、これ全部おかあさんに話したい!」と思ったとします。でもまだ小さいので、知っていることばが少なかったりすぐ出てこなかったりでうまく話せなくて、結果吃音が出てしまう、という感じです。幼児期の吃音がわりと興奮したときに出やすかったりするのは、この理論で説明ができます。(参考:https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2018/007701/002/0002-0009.pdf

DCMはお子さん本人ではなく、保護者の方への指導が中心になります。保護者の方に「吃音が出にくい話し方」のモデルを子どもに示していただくのです。たとえばゆっくり話す、子どもが話しやすいような質問の方法に変える、などです。子どもは大人の話し方を見て言葉をおぼえていきます。その一番のモデルになるお父さんお母さんがゆったり話していれば、子どももそれを真似していきます。

オンライン指導では、たとえばお母さんとお子さんがやりとりしていただく様子を私が画面を通して見せていただき、その後お母さんにフィードバックをします。指導対象が本人でなく保護者のため、3歳半といった小さな段階からでも受付が可能です。

ただしこのDCMは「大人が話し方のモデルを示す」という考え方が元になっていますため、お子さんがある程度小さいうちしか使用できません。そのため 5歳程度と上限を設けさせていただいています。

オンライン指導のため、料金は1回3000円とし、交通費はいただきません。またエリア外の方でもお受付できます。

ZOOMの設定、及び通信にかかる費用は利用者様にお願いしておりますが、やり方がわからないなどありましたら併せて指導させていただきますので、ご希望の方は一度お問い合わせください。

嚥下のリハビリはできますか?

ことばと脳の相談室では、原則として接触嚥下障害リハビリを承っておりませんが、例外として以下の条件が揃えばお受付できます。

・担当の主治医(医師か歯科医師)がいて、外部の言語聴覚士(当相談室)によるリハビリの許可が得られている。

・担当の主治医がリハビリ依頼書を当相談室宛てに出してくれる

その他の症状に関する指導は主治医がいなくても行えるのに、なぜ嚥下障害だけこんなに手間がかかるのか。それは、嚥下障害のリハビリは医師・歯科医師の指導の元に行わなければならないと法律で決まっているからです。嚥下障害のリハビリには誤嚥や誤飲といったリスクがつきまとい、結果命に関わることもあるため、医師や歯科医師としっかり連携し、都度意見を交換したり指示を仰ぎながら行う必要があります。

当相談室ではこのように、外部の医師や歯科医師と連携して、訪問による嚥下障害リハビリを行うこともあります。

「高齢者がごはんを食べられない、これは本当に辛いことですよ」

昔、ある医師から聞いた言葉が、今でも胸に残っています。加齢とともにできなくなることは増えていきます。歩けなくなるかもしれない、トイレに自分でいけなくなるかもしれない、外出も制限されるかもしれない。そんな中で「食べる」ということがどれほどの意味を持つのか。

食べることが命がけという方が世の中には大勢います。そのために食事を禁止されている方々がいます。

それを「本人が食べたがっているから、家族も食べて欲しいと思っているから」ということで勧めていいのか。

あるいは、お寿司が食べたいという方に「あなたはペースト食しか食べられませんよ!」と、機能面の問題だけを突き詰めて禁止していいのか。

悩みはつきません。そしてその悩みは、食べたいと思っている人の数だけあり、どれひとつとして形が違います。

いつも最適な答えを探している私たち。でも、確かなこともあります。

最期のその日まで「食べる」ことができる、最期のその瞬間まで「話す」ことができるーーー。

それを支えるのが、言語聴覚士に課せられた使命だということ。

その挑戦に、一緒に取り組んでみたいという方、ぜひお問い合わせください。

集団オンライン授業の落とし穴

学校の休校に伴い、オンライン授業が始まっているところも多いと思います。とても喜ばしいことです。喜ばしいのですが・・・Twitterで小学2年生のお子さんを持つ、あるお母様の呟きを見つけてしまいました。

ざっと要約しますと以下の通り。

「先生の説明だけでさっと授業を始められる子はせいぜい5人くらい。思うに今までは、周りの子たちが何をしているのかを見て、それを真似してはじめる、という状況だったと推察。だからオンライン授業で手元だけ映されても何をしていいのかわからない子続出」

この話を聞くと、小児療育に関わる言語聴覚士は「あぁ」と納得するのです。

言い方は人によって様々ですが、私はこれを「場面の読み取り能力」と言っています。

上記のツィートを元に、授業のやり方と子どもの能力について分析してみます。

*先生が「口頭」で授業の指示を出す。
 例:教科書の32ページを開いて、まずは問題2の計算をノートに写してください。それから計算問題を問いてください。計算式を書くために、3行あけて写しましょう。

【子どもに必要な能力】
●聴覚的理解(耳で聞いた指示を理解する)
●聴覚的把持(耳で聞いた指示をおぼえておく)
●行動(指示の通り行動する)
●処理(算数の計算問題をとく)
●注意力(聞き漏らさない、集中する)

もっと細かく分析もできるのですが、少々割愛しています。

いかがですか? 授業の指示だけとっても、様々な能力が必要ですよね。

そして、これらの能力がすべて備わっている子どもは、上記のツィートをされているお母様のお子さんのクラスでは、たった5人だけ、ということなんだと思います。
ほかのお子さんはどうなのか。おそらくツィートのお子さんは普通クラスだと推察します。大きな遅れはない子どもたちが仮に20人揃っているクラスで、残りの15人は上記のような指示だけでは授業にならない・授業が始められない、ということになります。

なぜなのか。

それは残りの15人の、●聴覚的理解(耳で聞いた指示を理解する)●聴覚的把持(耳で聞いた指示をおぼえておく)●注意力(聞き漏らさない、集中する)の能力に少々問題があるからと考えられます。おそらく15人の子どもは行動や処理には問題がないか、それほど目立たないはずです。でも「耳で聞く」2つの能力か、注意力のどれかひとつでも弱ければ、たちまち行動や処理にも支障をきたします。「耳で聞いたこと」が理解できなければ行動に移せませんし、「耳で聞いたことをすべて憶えておくこと」ができなければ、行動や処理は途中で止まってしまいます。さらに注意力が途切れてしまえば、その後の行動や処理も行えません。

「でも、普段の授業では普通通りやれていた」

それはなぜなのか。

そこで出てくるのが「場面の読み取り」の能力です。

聞いたことをとっさに理解できなくても、すべてを憶えていられなくても、周りの状況を見て、何をやらなければならないのか察知できれば、遅れないように行動や処理ができるのです。

普段の授業では、ちょっと周りを見渡せば、誰が何をしているのか見えます。だから自分もその通りに行動することで、遅れることなくやれていました。ところがオンライン授業で、カメラが手元だけしか映さなくなれば、参考にできる人がいないことになります。だからこそ「何をやっていいのかわからない子続出」で、授業にならないのです。

上記のツィート元のお子さんのクラスは、おそらく普通クラスです。普通クラスであっても、小学校2年生くらいであれば、半分以上の子どもが、口頭指示だけでは行動ができないのです。もちろん年齢があがれば「耳で聞く」能力もあがっていくことでしょう。ですが、今の遅れが癖づいてしまうと、勉強自体を嫌になってしまう可能性もあります。

聴覚的理解と聴覚的把持、そしてそれを補う場面の読み取り能力。これらは学校の授業では教えてもらえません。私たち専門家の仕事のひとつだと思っています。

だからこそ、大きな遅れはないお子さんでも、私たち言語聴覚士はしっかり評価をして、指導につなげています。